2015年の北陸新幹線金沢開業以降、金沢をはじめとして企業の支店や新店舗の進出が相次ぎ、それまでも高水準だった求人がますます増加傾向に。新幹線開業から年数が経ってもその勢いは継続し、2019年度は三県が1.91~2.15倍※を記録し、さらに福井は全国トップとなりました。
2020年現在、新型コロナウイルスの影響で有効求人倍率は低下に転じているものの、製造業や観光・接客業を中心として、積極的な人材募集が図られています。
※2019年度平均…福井県2.15倍、石川県1.95倍、富山県1.91倍
有効求人倍率
2019年度平均。厚生労働省および各県労働局 雇用情勢より作成
三県いずれも製造業をはじめとした基盤産業があることから正規雇用率が高く、平均を大きく上回っており、特に富山県は3位・福井県は5位※となっています。とりわけ富山は若年層の正規雇用が全国トップです。
正規雇用で安心して、しっかりと働ける環境が整っています。
富山県…66.9%(若年層は77.8%)、福井県…65.4%、石川県…64.7%、全国平均61.8%(2017年総務省統計局調査の「非正規の職員・従業員の割合」より算出)
正規の職員・従業員の割合
2017年総務省統計局調査「非正規の職員・従業員の割合」より作成
高い有効求人倍率を反映して、完全失業率は北陸三県の平均値で全国平均の2.8%※を下回る2.2%を記録。仕事を見つけやすい環境と言えるでしょう。
また北陸の人はもともと働き者なうえ、各県が基盤となる産業をもっていることから、昔から完全失業率は低く推移しており、ここ約20年は全国平均を大きく下回っています。
※2020年度平均(内閣府「完全失業率の地域別推移」)
完全失業率
総務省統計局「労働力調査(基本集計)2020年(令和2年)平均結果の要約」
女性の働く意欲が高い北陸の女性就業率は、福井県がトップ、富山県が2位、石川県が5位※と三県いずれも高いのが特徴。女性にとって働きやすい場といえます。
その背景には、25~49歳の女性一人あたりの保育所定員が多く、待機児童が少ないうえ、週60時間以上働く男性の割合が低いなど夫側の家庭・育児参加が可能なことがあります。
※全国平均…66%、福井県…74.8%、富山県…72.2%、石川県…71.2%(平成29年版「男女共同参画白書」より抜粋。28年時点での15~64歳の女性が対象)
女性就業率
内閣府男女共同参画室 平成29年版「男女共同参画白書」より作成
富山県は豊富な水と安価な電力に恵まれ、全国と比べて第二次産業の比率が高いのが特徴です。二次産業就業者の割合が全国1位※1で、特に住宅用アルミニウム製サッシは全国シェアトップ※2を誇ります。
また、「富山のくすり」で知られる医薬品は今も製造が盛んで、生産額が全国4位です※3。容器や包装など医薬品の関連産業も合わせて発達しています。
近年は産業用ロボットの製造・開発に挑む企業もあるなど、先進技術にも積極的に取り組んでいるほか、北陸新幹線の開業以降は観光客が増加傾向にあり、宿泊施設や飲食店が増えつつあります。
※1…2015年データ、総務省「国勢調査」より
※2…36.5%(2016年「経済センサス-活動調査(製造業)」より)
※3…6,937億円(2019年「薬事工業生産動態統計調査」より)
産業別就業人口
建設機械・繊維機械をはじめ、工作機械や食品関連機械などの生産が盛ん。製造品出荷額等割合は機械が6割超※1を占めるなど基幹産業となっています。
また古くから繊維の生産が盛んな県であり、合繊織物の生産量は全国1位を誇っています※2。ほか、全国でも有数のニッチトップ企業が多いのも特徴です。さらにIT・情報産業も成長しており、人口あたりの従業員数は全国8位、事務所数・売上高が全国6位に※3。加えて北陸新幹線の開業以降は観光客の増加により、金沢市内を中心に宿泊施設がオープンしています。
※1…2019年工業統計調査 ※2…2017年生産動態統計調査 ※3…2017年特定サービス産業実態調査
古くから繊維産業が盛んで、織物・ニット・染色の分野で全国1位を占める品目を製造しています。近年は、炭素繊維の研究開発が進んでおり、航空機や人工衛星などの先端分野においても使用されています。また、繊維機械・工作機械・自動車関連機器など機械製造や、半導体などの電子デバイスの生産も活発です。
めがねの産地として知られ、眼鏡フレームの生産は全国の96%を占めます。さらに、眼鏡フレームで培ったオンリーワンの技術を活かし、医療器具やウェアラブルデバイスなど様々な分野でも活躍しています。
加えて2024年春に控えた北陸新幹線敦賀延伸に向け、新駅等の整備や駅周辺の再開発が進められています。
※2017年データ
北陸三県ともに自動車での通勤がメインで、いずれも全国平均を下回る中位数*を記録。通勤時間が三県いずれも19~21分。30分未満の人が、三県いずれも7割強を占めます※1。
一方で三県いずれも都市部のバス網が発達し、マイカー通勤が厳しい人でも職場まで簡単にアクセスできます。
また北陸三県いずれも道路整備率が全国平均の58.9%を大幅に上回る70%※2超えで、富山はトップ。自動車・バスが走りやすい環境が整っています。
*中位数…全通勤者の通勤時間を短い順に並べた場合、ちょうど2分の1番目にあたる人の時間
※1…中位数は、福井県19.7分、石川県19.5分、富山県20.9分。通勤時間30分未満の比率は、福井県75.1%、石川県77.0%、富山県74.8%(総務省統計局「平成30年住宅・土地統計調査」)
※2…富山県75.0%、石川県73.2%、福井県70.1%。一般国道、都道府県道、国・都道府県道、市町村道をあわせたもの(環境省「平成29年版環境統計集」)
通勤時間の割合
総務省統計局|日本の住宅・土地-平成30年住宅・土地統計調査より作成
北陸三県いずれも、女性の就業率の高さを反映して、共働き家庭が多いのが特徴です。3県とも共働き家庭が半数以上の55~60%※1を占め、福井は全国トップです。
それを反映してか勤労者世帯の世帯収入も高く、地方都市ながら石川県の3位を先頭に、三県いずれも全国平均を上回っています※2。
※1…福井県60.0%、富山県57.1%、石川県53.1%。全国平均48.8%(総務省統計局「平成29年就業構造基本調査 結果の概要」より)
※2…石川県667万2千円で3位、富山県593万2千円で17位、福井県611万4千円で12位。全国平均586万1千円(総務統計局|統計でみる都道府県のすがた2021)
共働き家庭比率
総務省統計局「平成29年就業構造基本調査 結果の概要」より作成
北陸三県の企業はいずれもインターンシップへの意欲が高く、三県の実施率は中学校では100%を記録。高校でも福井県は100%、富山県97.7%、石川県93.5%と大変高い実施率を誇り、志望者が興味のある企業の調査がしやすく、ミスマッチが発生しづらいと言えるでしょう。
インターンシップ実施率
北陸三県ともに日々の暮らしを重視する傾向にあり、持ち家比率が全国平均の61.2%を大きく超える約70%※1を記録しています。しかも一軒家が多く、こちらも全国平均の53.6%を大幅に上回り、いずれも約70%以上で全国でも富山県は3位、福井県は4位※2な上、持ち家延べ床面積は三県が全国平均の1.3~1.4倍。自宅でゆとりある暮らしを送れます。
※1…富山県76.8%、福井県74.9%、石川県69.3%
※2…富山県77.1%、福井県76.7%、石川県69.8%
※3…富山県171.8㎡、福井県164.7㎡、石川県158.2㎡、全国平均119.9㎡
(上記データはいずれも総務省統計局「社会生活統計指標-都道府県の指標-2021」)
持ち家比率